理事長ご挨拶

Hiroshi Yoshida Photo20210223JPEG

理事長 吉田 博
東京慈恵会医科大学附属柏病院 病院長・教授

2020年12月に理事長に選任されました、東京慈恵会医科大学の吉田博です。これまで日本機能性食品医用学会を支えてくださった多くの皆様に感謝申し上げますとともに、宇都宮前理事長から受け継ぎました活動実績をますます発展させていく所存です。学会を運営する重責を感じておりますとともに、会員の皆様のご協力、ご高配を何卒よろしくお願い申し上げます。

健康寿命は介護を必要としない、健康で自立した生活を継続できている年月でありますが、平均寿命と健康寿命の間にはまだまだ約10年の差があります。健康長寿社会の実現が国民のための大切な課題になっています。2018年12月には「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」が成立し、近年の急激な人口高齢化に伴う喫緊の課題である高齢者の健康寿命延伸を考慮し、高齢者における脳卒中·循環器疾患予防のための対策と高齢者特有の留意点が加えられています。65歳以上の高齢者の健康を守るコンセプトにおいて、フレイル·サルコペニア·ロコモティブシンドロームは重要な課題であるとともに、75歳までの基本健康施策としてメタボリックシンドロームへの対応も欠かせません。そのためには、食事·栄養や身体活動などの生活習慣を改善していくことが大切ですし、このような取り組みはその他の疾患、がんや感染症の予防においても同様であり、高齢者だけでなく老若男女すべてにおいて大切です。300年以上前に貝原益軒が遺した養生訓のなかには「医は仁術なり」について説かれていますが、そこには健康観として「病にかかることのない健康な生活を快く楽しむ」「長寿を楽しむ」などがみられます。このような健康長寿には、医食同源の考えを背景に、現代においては機能性食品の果たす役割は大きいと思われます。

健康食品は広く健康の保持増進に資する食品として販売·利用されるもの全般を意味しますが、そこには国が定めた安全性や有効性に関する基準等を満たした「保健機能食品制度」があり、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品などがあります。食品の持つ特定の保健の用途を表示して販売される特定保健用食品は、製品ごとに食品の有効性や安全性について審査を受け、国の許可(個別許可型または規格基準型)を受けて許可マークが表示されています。このなかには、関与成分の摂取による疾病リスクの低減が医学的·栄養学的に認められ確立されている場合は、疾病リスク低減に資することが表示される食品もあります。栄養機能食品は特定のビタミン·ミネラルについて国の定める摂取量の範囲内で含む食品に規格基準型として表示されていますので、機能性に関しては国が定める効果以外は表示不可です。一方、機能性表示食品は2015年から始まった制度で、特定保健用食品のように国による機能性·安全性の審査を受けることなく、科学的根拠に基づいた機能性·安全性の情報を消費者庁に届け出る事前登録型の健康食品です。健康効果に預かる機能性を表示するからには品質管理が重要であることは申し上げるまでもありません。

国民の健康のために役立つ健康食品、機能性食品の発展に真摯に取り組むことは本学会の活動の基本であると思います。ここにあらためまして、会員の皆様のご理解と機能性食品医用へのご支援を心よりお願いする次第です。どうぞよろしくお願いいたします。